お母さん・お父さんのためのやさしい教育心理学

~英国国際教育研究所・こどもの未来研究室「母国語教室」保護者へのメールから抜粋しています~

不定期のメール・レクチャーをお届けします。
本当は教室でゆったりとした時間にお話をしたいのですが、そうするとなかなか実現しないので。
図師照幸(英国国際教育研究所所長・母国語教室校長)

第1講 動機づけ

子どもたちのやる気や意欲が低ければ、お母さんや先生がいくらお尻をたたいても学習効果は上がりません。逆に、子どもたちのやる気や意欲が高まると、学習に集中するようになり、学習効果は上がってきます。ですから、様々な個性を持った子どもたちのやる気や意欲をどうやって引き出すかというのが重要な課題になります。これを動機づけ (motivation)と言います。動機づけというのは、子どもたちにどうやって目標を持たせ、その目標のためにどんな行動をさせ、それを持続させ、前へと推し進める力のことです。

1. 外発的動機づけ
2. 内発的動機づけ

1. 外発的動機づけ

賞と罰の動機づけというものです。外発的動機づけの代表的なものには賞賛と叱責があります。賞賛とは、子どもの行動やその結果もたらされた結果をほめるということです。そうすることで、子どもはさらなる学習意欲と自信を持つようになります。なるほど、こういうことをするとママは喜び、パパはほめてくれるのかと学ぶことになります。叱責とは、ふさわしくない態度や行動に対して行われます。なるほど、こんなことをするとママは悲しく、時に涙を流したりし、パパはとても怖い顔をして、ぼくのことをにらみつけるのかと学びます。その他に、協同と競争といった外発的動機づけもあります。外的社会的動機づけともいわれます。協同とは単に個人の頭の中だけで行われる活動ではなく、人と人との間に成立する社会的なもの(学習)であるといった考え方です。他方、競争とは、学習結果を競うもので、油断すると量的結果に目が行き、質的な内容を軽んじることがあります。個人間の競争は意欲を刺激しますが、競争に勝つことそのものが目的となって、競争に負けると劣等感を持ってしまい、意欲を喪失することもあります。集団間の競争においても、集団全体の学習意欲を高める効果があると同時に、その集団内の弱いメンバーにとんでもない圧力をかけてしまうこともあります。さて、この外発的動機づけの典型的なものとして、「○○点取ったら、☓☓を買ってあげる」といった報酬(ごほうび)を与えるといった安易な動機づけが実は依然としてよく用いられています。この方法からは、従順さの助長、自律性の喪失等が発生し、結果的に、動機づけが低減していくという危険性が指摘されています。つまり、何か買ってもらえなければ、ご褒美がもらえないのならやらないといった不健康な自律性のない姿勢を教え込んでいくということになります。物などで賞を与えるのではなく、「すごいね。うまいなあ。」などといった言葉かけ(情報的方法)による動機づけは、子どもたちの健康な動機づけや積極性を増大させるという実験結果が報告されています。

2. 内発的動機づけ

1)心理的欲求
すべての子どもたちが、
①自律性への欲求
②有能さへの欲求
③関係性への欲求
という3つの基本的な心理的欲求を持っていると言われています。①自分で自分の行動は決めたい、②失敗することはあっても努力すれば自分にもできないわけではないと思いたい、③他の人と仲良くなりたい、という欲求です。

2)好奇心や興味

好奇心
今持っている知識や経験ではよくわからないことに出会ったとき、なんとかわかりたいと思う気持ちです。この気持ちを利用して教師は次のようなプロセスで学習を生み出すことがあります。
①ゲッシング・フィードバック (知識のギャップを明らかにして、子どもの解答が間違っていることを知らせる)
②サスペンス (結論を予想させる。正しい結論を導くための方法について考えさせる)
③論争 (自分の考えと他の人の考えとを論理的に比較検討し、分かり合おうとする)

興味
子どもたちがどのようなものに知的な興味を持つか、というのは本来、親が一番知っていなければなりません。それは、親自身が知的な興味をどのようなものに対して持っているかということに大きな影響を受けます。その興味が、ポジティブな情動という学習意欲を生み出します。「環境問題」について話し合ってみる、「戦争」について考えてみる、「幸せって何だろうなあ」と子どもに訊いてみる、そういった勇気がありますか。

第1講は少し難しくなったようですね。次回からはもっとわかりやすく、レクチャーを進めていくことにしましょう。
ちゃんと、最後まで読んでもらえたかなあ。
では、今日はここまで。 (2019.12.10)